日時:12月23日(火)10:40~12:00
場所:体育館
本日、本校体育館にて、大阪公立大学文学研究科の橋本博文准教授をお招きし、人権講演会を開催しました。今回の講演では、 「信頼する心を科学する」というタイトルのもと、私たちが他者を信頼する際の心の働きについて、「安心(仕組みによる協力)」と「信頼(リスクを取る協力)」という二つの異なる側面から詳しくお話しいただきました。
・「安心」:裏切ると損をする仕組み
まず、私たちが社会の中で協力し合える背景には「安心」という仕組みがあります。「良好な関係を壊すと自分が損をする」・「ルールがあるから裏切れない」といった、いわば信頼「裏切ることがコスト(損)になる状態」が、人々の協力を支えているという側面を学びました。これは社会を安定させる大切な基盤です。
・ 「信頼」:リスクを承知で踏み出す一歩
一方で、相手が自分を裏切る可能性(リスク)がある状況でも、あえて相手を信じて一歩踏み出すことを心理学では「信頼(リスクテイキング)」と呼びます。 知らない他者や、まだ絆が深まっていない相手に対しても、「この人は裏切らない」と期待して行動する心の動きが、新しいつながりや豊かな人間関係を生み出す原動力になるというお話は、生徒たちにとっても非常に新鮮な視点でした。
講演を終えて、「安心」できる環境を整えることの大切さと、それを超えて相手を「信頼」する勇気。この二つのバランスが、多様な人々が共生する社会においていかに重要であるかを考える貴重な時間となりました。言葉一つ、行動一つが、相手にとっての「安心」につながっているか。あるいは「信頼」を築く一歩になっているか。今日学んだ心のメカニズムを、明日からの友人関係や社会生活の中でぜひ実践してほしいと思います。

兵庫県立国際高等学校 